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YouTubeの動画投稿でいちばんに考えられる権利といえば著作権があげられます。しかし、著作権ばかりに注意していると、思わぬ落とし穴にはまる危険性があります。一見して他人の権利と無関係に思える動画でも、かかわってくる権利は多数です。
これらの権利は判例や個別の法律で守られています。
YouTubeにおけるプライバシー権侵害
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街中でYouTubeの動画撮影をしていると近くにいる人や通行人がカメラに入ってきます。意識していなくても個人を特定できる程度に映ってしまうことがあり、状況次第では肖像権侵害の問題になるケースがあります。家の中にいる他人を撮影してしまうとプライバシー権侵害の問題です。
撮影そのもの以外では、ブランド品の改造動画に商標権侵害の疑いがあります。また、人気アーティストのCDから曲をチョイスしてアップロードすれば、レコード会社などがもつ著作隣接権の侵害です。
YouTubeに投稿した動画の内容や、動画の撮影そのものが他人の権利を侵害している場合、民法709条の規定により不法行為として損賠賠償を求められる可能性があります。逆にいえば、YouTube動画に関して自分の権利を侵害された人は、損害賠償を請求できるのです。
損害賠償の中身は、主として権利侵害によって失った実害分と、権利侵害によって受けた精神的苦痛などに対する慰謝料です。具体的にどの程度の金額になるかはケースバイケースで、侵害の程度が重い場合は100万円を超える可能性もあります。
不法行為による損害賠償の請求は、損害と加害者を知ったときから3年または行為のときから20年で消滅時効にかかります。(民法724条)
ただし、時効には中断があり、援用(主張)がないと効力を生じません。賠償責任を負ってしまうと逃れるのは難しくなります。
※時効の中断とは、支払い義務の承認や一部の支払い、その他の民法で定める事由によって時効がリセットされることです。中断と呼んでいますが、その時点から0に戻ってカウントをやり直します。
YouTubeでの動画投稿に絡んで生じる法的責任には民事だけでなく刑事責任もあります。
判例で確立された権利とは違い、商標権と著作隣接権は商標法と著作権法で明文化された権利です。その侵害行為にはそれぞれの法律で罰則が定められています。つまり、権利侵害行為はそのまま犯罪です。最悪は懲役10年と1,000万円の罰金を併科されます。
上記は、YouTubeに投稿する動画の撮影段階や投稿して公開した段階で抵触する可能性がある主な刑法の罪名です。虚偽の噂を流したり突撃して騒動を起こしたりするだけでなく、曖昧な根拠で他人や商品を批判する行為にも危険があります。
また、与えた損害に対する賠償責任が生じる点は肖像権や著作隣接権などの権利侵害と同様です。
以上のように、YouTubeで動画を投稿するなら、主要な権利や法律についてチェックしておく必要があります。
YouTubeにおける
信用毀損及び業務妨害罪
(偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪)
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インターネット関連の訴訟や個人情報の開示請求へ取り組む弁護士として有名。
インターネット上での著作権や肖像権、誹謗中傷などへ力を入れて対応。YoutubeやSNSでの訴訟にも詳しく、他弁護士事務所から相談や依頼者の紹介を受けている。
新しい分野の訴訟問題のため、誰でも気軽に相談ができるよう、LINEによる相談受付を行うなど、その親しみやすさからも支持を集めている。