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脅迫罪は刑法第222条に規定されています。本人や親族に対して危害を加える旨を告知し、脅す犯罪行為が脅迫罪です。脅迫罪が成立し得る危害を加える範囲は、生命や身体にとどまらず、自由や名誉、財産にまで及びます。対面だけでなく、YouTubeの動画上の発言でも成立し得る罪です。
脅迫罪とよく似た犯罪に強要罪や恐喝罪がありますが、脅迫が単なる手段になっている点が違います。強要罪は義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりする罪でより重罪です。恐喝罪は財物や財産上の利益を得る目的がありより重い罪とされています。
脅迫罪は生命、身体や自由、財産に害をなすと告知するだけで成立します。ただし、人の意思決定の自由が保護法益であることから自然人、つまり人間が対象の犯罪であり、法人を脅迫しても脅迫罪には当たりません。
本人や親族が何も感じなかった場合はどうなるのかといえば、脅迫罪の成立には影響しないとされています。相手の反応は問題ではなく、一般的に相手が畏怖する具体的な内容であれば告知しただけで脅迫罪の成立です。
脅迫罪で訴追されて有罪判決を受ければ、2年以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられます。懲役刑の場合でも長期で2年のため執行猶予がつく可能性がある犯罪です。しかし、執行猶予によって服役を免れたとしても民事責任を追及される可能性があります。
脅迫罪になるような行為は民法上の不法行為にも該当します。脅迫を受けたことによって仕事に支障をきたして実害が生じた場合や、精神的な苦痛を受けた場合などに考えられるのが損害賠償請求です。慰謝料だけでもケースによっては100万円単位になり得ます。
YouTubeに投稿した動画には視聴者がコメントを書き込めます。辛辣なコメントを書き込まれたくない場合はコメント欄を閉鎖することも可能です。しかし、それでは腹の虫がおさまらないとばかりに、怒りに任せて動画で報復した場合、脅迫罪に該当する可能性があります。
「お前の家を特定して火をつけてやる」といった直接的な文言だけでなく「俺のファンがお前をぶちのめすといっている」といった第三者による害悪の告知も脅迫の形態です。
トラブルの相手に向けた動画であることがわかる前提で、火災現場や事件現場の映像を流しながら「放火とかされたら大変だね」とか「いつこんな目に遭うかわからないよ」といった脅し文句を並べれば、脅迫罪に該当する可能性があります。
自分がやるとも、支配下にある第三者がやるともいっていませんが、状況的に脅迫と受け取るのが一般的だからです。
脅迫罪は故意犯で、故意がなければ成立しません。YouTubeに投稿した動画が誰かを脅迫するものだったとしても、故意でない限りは無罪です。しかし、うっかり過失ではYouTubeに具体例のような脅迫動画を投稿できないでしょう。
したがって、相手をギャフンといわせようとか、怖がらせようとか思わないことが動画投稿で脅迫罪を犯さないためのポイントです。怒りが沸騰しているときは動画を作らないといった心がけも必要といえます。動画は楽しむものです。
インターネット関連の訴訟や個人情報の開示請求へ取り組む弁護士として有名。
インターネット上での著作権や肖像権、誹謗中傷などへ力を入れて対応。YoutubeやSNSでの訴訟にも詳しく、他弁護士事務所から相談や依頼者の紹介を受けている。
新しい分野の訴訟問題のため、誰でも気軽に相談ができるよう、LINEによる相談受付を行うなど、その親しみやすさからも支持を集めている。