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多くの人が理解しているとは思いますが、プロ野球やサッカーなど、テレビ中継の映像をYouTube上に無断で転載する行為は著作権侵害となります。
それは著作権者が存在する「著作物」として取り扱われるためですが、自らで映像を撮影し、編集した場合はどうでしょうか。
ここでは、スポーツ動画を自分で撮影しYouTubeにアップロードする場合、どういう点が他者の権利を侵害する行為となるのか、どういう点に注意すべきかを解説します。
プロスポーツの試合自体は創作的に表現したものとは考えづらいため、多くの場合は著作権で保護されません。
しかし会場で流れている音楽や登場するマスコットキャラクターなどには著作権が認められる可能性が高いため、注意が必要です。
また選手や他の観客の顔などが映っている場合は肖像権やパブリシティ権の保護対象となります。
前述した通り、プロスポーツの試合自体は一般的に著作権の保護対象とはなりません。
しかし会場の音楽やマスコットキャラクターをはじめとした他者の著作物が含まれる場合には著作権侵害となります。
また、観客などの一般人が個人を特定できる形で映っている場合には肖像権の侵害、プロ選手などの著名人の氏名・肖像を独立した商品化や広告として利用する場合にはパブリシティ権の侵害となります。
他者の著作権を侵害した場合、民事上の責任として差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があり刑事上の責任としては10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金を科される法的責任を負います。
また、肖像権やパブリシティ権の侵害となると刑事罰はありませんが、民事上の責任として差止請求や損害賠償を受ける可能性があります。
プロスポーツの試合は、主催者が観客の観戦を目的としチケットを販売します。
観客は規約や約款に基づき、これに承諾した上で購入していることとなりますので、正当な目的以外のためにチケットを利用することはできません。
そのため、今回のケースでは「主催者が動画の撮影・投稿を認めているか」どうかになります。また、試合の撮影・投稿自体を認められた場合でも、他の観客の肖像権やそのた著作物が動画に含まれていないかという点にも注意が必要です。
それでは、自分で撮影したスポーツ動画をYouTubeに投稿する場合、どのような点に気を付けるべきでしょうか。
前述した各権利との関係も踏まえ、プロスポーツの場合とそれ以外の場合についてそれぞれ解説します。
プロスポーツにおいては「放映権」という慣習があり、各テレビ局・ラジオ局などは試合を放映する権利を主催者との契約を交わして購入しています。
この放映権は知的財産権としての保護はされていませんが、一般的には施設管理権に基づいて定められているため、主催者の許可なく撮影した動画をYouTube上にアップロードする行為はトラブルの原因となりますので、必ず試合観戦契約の約款などを確認し、撮影した動画をアップロードする行為が禁止されていないかを確認するようにしましょう。
プロ以外のスポーツについては、出場している選手たちの肖像権に注意が必要です。
個人の氏名や肖像が特定できる形で撮影されており、それをYouTube上にアップロードする行為は肖像権の侵害となりますので、気を付けましょう。
ただし、本人に許諾を受けた場合はこの限りではありません。
インターネット関連の訴訟や個人情報の開示請求へ取り組む弁護士として有名。
インターネット上での著作権や肖像権、誹謗中傷などへ力を入れて対応。YoutubeやSNSでの訴訟にも詳しく、他弁護士事務所から相談や依頼者の紹介を受けている。
新しい分野の訴訟問題のため、誰でも気軽に相談ができるよう、LINEによる相談受付を行うなど、その親しみやすさからも支持を集めている。