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漫画の無断アップロードによる著作権侵害

【当サイト監修】尽心法律特許事務所 堀尾純矢 弁護士(静岡弁護士会所属)

少年週刊誌の人気作品を撮影する
などしてYouTubeにアップし
摘発された事件

アップロード

漫画を無断アップロードした著作権侵害の罪で摘発された事例として、愛知県に住む14歳男子中学生の事件と北海道在住の30代男性会社員の事件を見ていきます。14歳中学生の事件は、人気の連載漫画「MAJOR」(週刊少年サンデー・小学館)や「銀魂」(少年ジャンプ・集英社)など合計4作品4話分を無断でYouTubeにアップロードしたものです。30代男性の事件では、人気漫画の「進撃の巨人」(講談社)と「ONE PIECE」(集英社)の各1話を違法にアップロードしていました。

事件の経緯と結果

2件の事例とも刑事事件として摘発されたもので、コンピュータソフトウェア著作権協会経由で警察からの連絡を受けた被害者によって告訴がなされています。

14歳男子中学生のケース

14歳といえば刑法第41条により日本で刑事責任を追及される最低年齢です。平成21年12月から翌年2月にかけての犯行で、京都府警と佐賀県警、沖縄県警の合同捜査の結果、その年の6月に本件被疑者である少年は逮捕されています。

少年法の規定により家庭裁判所に送致され、刑事事件ではなく保護事件として扱われており、少年審判の結果、7月に名古屋家庭裁判所で下された決定は保護観察処分でした。

※保護観察処分…少年院などの施設に収容することなく、社会生活の中で更生を促す処分です。指導や監督には保護観察官や保護司が当たります。

30代男性会社員のケース

30代男性会社員の犯行が発覚したのは、熊本県警の担当者によるサイバーパトロールの結果でした。携帯電話のカメラ機能で漫画を撮影するなどし、違法にアップロードしていたものです。

こちらの事件では令和元年11月に送検されたところまでは報道されていますが、検察が起訴したのか不起訴だったのか、起訴されたとしてどのような裁判が行われ、また判決が下ったのかに関する情報は不明となっています。

被害額などの情報

雑誌

両事件とも民事での不法行為に基づく損害賠償請求が行われたという報道は見当たりませんが、被害者の損害は多額にのぼっているとのことです。

被害額は20億円に迫る

愛知県の14歳男子中学生の事例は少年審判だったこともあり詳細については不明な部分が多いものの、無断アップロードされた側の被害額は約19億2,000万円もの多額とされています。

参照元:ネットトラブル事例・宮城県教育研修センター(PDF)(http://www.edu-c.pref.miyagi.jp/midori/moral/jugyo-page/jugyo-file/d_j1-01/j101-07.pdf

自身のTwitterやブログで更新情報をリリースしていたことで、再生回数が増加し、被害を拡大させたようです。再生回数は800万回に及んでおり、損害額を再生回数でならすと、1回当たり240円程度となります。

30代男性会社員の事件で再生数がどの程度あったのかは明らかになっていませんが、男子中学生と同様の単価で推定した場合、被害額がかなりの高額になることは確実です。

ポイントは公衆送信権と出版権の侵害

YouTubeなどの動画投稿サイトに漫画を違法アップロードする行為は、著作権法違反の中で公衆送信権の侵害に当たります。公衆送信権は著作権法第23条1項に規定されており、自動公衆送信の場合における送信可能化権を含む権利です。

2つの事件ではYouTubeにアップロードしていることから、送信可能化権の侵害が問題となります。さらに、30代男性会社員のケースでは、出版権侵害の疑いも加わっていました。

※自動公衆送信…公衆がアクセスしたときにダウンロードや視聴(送信)が可能となる手法です。公衆送信では送信行為が必要となり、アップロードをしたもののアクセスがない状態では権利侵害となりませんが、自動公衆送信では送信可能な状態にすることで権利侵害となります。

この事件から学べること

エンターキー

ITの進化によって誰でも簡単に著作権侵害をしてしまう状況になってしまったことが改めて印象付けられる事件でした。同時に、捜査機関によるサイバー犯罪への取り組みが進んでおり、著作権侵害についても摘発事例が増えることで、犯罪の抑止が期待できます。

また、安易に著作権侵害を行った場合に刑事責任を問われることはもちろんのこと、民事での損害賠償リスクを周知することで、より権利侵害の予防に役立ちそうです。

14歳男子中学生の事例のように与えた損害が19億円にも上り、賠償を請求されたとしたら…と考えるだけでも抑止力がはたらきます。損得でいえば著作権侵害は誰も得をしない行為です。

参照元:一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(PDF)(https://www2.accsjp.or.jp/criminal/2010/1009.php

参照元:一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(PDF)(https://www2.accsjp.or.jp/criminal/2019/1128.php

参照元:livedoor(https://news.livedoor.com/article/detail/17471867/

参照元:マイナビニュース(https://news.mynavi.jp/article/20191203-932429/

参照元:ねとらぼ(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1912/03/news119.html

参照元:宮城県教育研修センター (PDF)(http://www.edu-c.pref.miyagi.jp/midori/moral/jugyo-page/jugyo-file/d_j1-01/j101-07.pdf

静岡弁護士会所属
【当サイト監修】IT弁護士 堀尾 純矢 先生

インターネット関連の訴訟や個人情報の開示請求へ取り組む弁護士として有名。
インターネット上での著作権や肖像権、誹謗中傷などへ力を入れて対応。YoutubeやSNSでの訴訟にも詳しく、他弁護士事務所から相談や依頼者の紹介を受けている。
新しい分野の訴訟問題のため、誰でも気軽に相談ができるよう、LINEによる相談受付を行うなど、その親しみやすさからも支持を集めている。

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